学会発表

2008年度 学会発表

2008年11月23日(日)~24日(月・祝)

第17回日本柔道整復接骨医学会学術大会について

【堀江校長、川東先生、小林先生、丸茂先生、原口先生、牧野先生、近藤先生、海野先生、浦中先生、
小黒先生の10人が学術発表をされました】

第17回「日本柔道整復接骨医学界学術大会」が代々木にて開催されました。当学園の講師陣は学会で高い評価を受け更に研究発表数では全国1位となり「さいたま柔整専門学校」は学会の中心的な役割を果たしていることを証明致しました。

私たちは、柔整業界のリーダーとして本格的な高齢化社会に向けてより一層レベルの高い医療技術を追求してまいります。

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平成16年1月16日千葉地裁判決にみる柔道整復師受領委任払の厚労省(行政運営)取り扱い根拠について
川東信秀(さいたま柔整専門学校)
Key words:受領委任払い、柔道整復師、保険給付、療養費

【目的】本来はあんま師、はり師、灸師の現金給付(償還払い)と同じである柔道整復師が、実質上医療の現物サービスの提供と同様の意味を持つこことなる受領委任払い(柔道整復師の療養費支給申請)を国が認め運営していることにつき、医療保険行政の法律家でなく受領委任払いを扱う柔道整復師として再度検証する。

【考察】健康保険法は、療養費の支給につき、原則として(例外的な場合を除き)、受領委任払いの方法によることを認めていないものと解される」とし、柔道整復については、施術を行うことのできる患者は外傷性のもので、発生原因が明確であり、他疾患との関連が問題となることが少ないから、不正請求や業務範囲を逸脱した施術等といった弊害が生じる可能性が低くかつ、柔道整復師法17条ただし書に基づく医師の代替機能をも有するところ、受領委任払いを認める合理的理由があり行政運営は適正である」という国の行政解釈と解する。


FingerTrapTractionとMyoVibを用いた整復の試み -橈骨単独上1/3骨片骨折の症例-
原口力也※、井口真理子、樽本修和(さいたま柔整専門学校)
Key words:保存療法、FingerTrapTraction、MyoVib

【背景】我々柔道整復師は、運動器系を扱う専門家として、また骨折・脱臼における徒手整復のプロフェッショナルとして日々研鑚を積んでいる。そこで今回、橈骨単独上1/3骨片骨折の症例にFingerTrapTractionとMyoVibeを用いた保存的徒手整復を行い、1年後の経過と若干の考察を加えて報告する。

【結果】今回、FingerTrapTractionとMyoVibeを用いた保存的整復を行った。今後は症例数を増やし、統計学的検証を行い、また非観血的整復にこだわり、より良い整復手技・技術の研究・研鑚を積んでいきたい。【考察】橈骨単独上1/3骨片骨折は橈骨骨折(近位・骨幹部・遠位)の部位別頻度で13%と比較的少なく、機能障害、変形癒合、偽関節、神経障害などを合併することが稀でなく、決して整復が容易な骨折ではないと考える。そこで今回第3骨片と伴う不安定型の橈骨単独上1/3骨片骨折の症例に対し、FingerTrapTractionとMyoVibeを用いた整復を試みて、ある程度整復位が保てた。MyoVibeによる振動効果が筋に及ぼす影響は研究過程ではあるが、臨床治験では実証されてきている。しかし、このような整復を行う症例もまた少なく、統計学的検証もできないが、今後症例数を重ね有効性の検証をしていきたいと思う。

捻挫に徒手整復は有益か1 -足関節捻挫に対する徒手整復の有効性-
丸茂正憲、堀江俊裕、小林匠(さいたま柔整専門学校)
Key words:足関節捻挫、徒手整復、ペインスケール

【目的】足関節捻挫の治療において、多くの柔道整復師が患部固定前に整復操作を加えている。これらの整復操作を加えた治療手技は、経験的に継承されてはいるものの、その治療効果については疑問視する声も多く、科学的に実証されていないのが現状である。今回私たちは、足関節捻挫を受傷し、接骨院ならびに整形外科医院を受診した症例を整復群と非整復群に無作為に振り分け、その治療成績を比較検討し、一定の傾向を得たのでここに報告する。

【結果・考察】足関節捻挫に対する徒手整復治療には、その治療効果を疑問視する向きが多く、徒手整復を加えてはならないという意見も多い。今回、我々がおこなった足関節捻挫に対する徒手整復治療成績の調査において、整復群は、非整復群に比し、良好な治療経過をたどる傾向が示唆された。今後もさらに症例を加え接骨医学における足関節捻挫における徒手整復の意義について検討していきたい。


捻挫に徒手整復は有益か2 -足関節捻挫に対する徒手整復の有効性-
牧野竹留、堀江俊裕、小林匠(さいたま柔整専門学校)
Key words:足関節捻挫、徒手整復、ペインスケール

【目的】足関節捻挫の治療において、多くの柔道整復師が患部固定前に整復操作を加えている。研究1で報告したとおり、初期除痛効果の傾向は示唆されたものの、初期社会復帰やスポーツ復帰への貢献度については疑問が残された。今回私たちは、研究1の同じ患者群を対象とし、整復群、非整復群の経時的な推移の検討を行った。

【結果・考察】足関節捻挫に対する徒手整復治療には、その治療効果を疑問視する向きが多く、徒手整復を加えてはならないという意見も多い。今回、我々がおこなった研究1の発表において整復群に初期除痛効果の傾向は認めたものの、経時的な治療成績においては有意な差を見出すことはできなかった。今後も症例を加え接骨医学における足関節捻挫における徒手整復の意義について検討していきたい。


柔道整復師養成施設における会計・経理教育の意義 -良き接骨院経営者の育成に向けて-
海野典彦、近藤祥一郎、堀江俊裕(さいたま柔整専門学校)
Key words:簿記会計教育、課税制度、柔道整復師養成施設

本来、事業を営む者は経営・会計(経理)の概念の学習・習得が必要である。柔道整復師養成施設卒業後5年の柔道整復師をみると、勤務する柔道整復師より開業し接骨院を経営する柔道整復師が圧倒的多数を占めている。柔道整復師養成施設入学前に会計・経理教育を受けた者は極少数であるにも関わらず、柔道整復師養成施設で基礎科目中に会計・経理教育を履修させている施設はない。そこで我々は基礎科目に会計・経理教育に関する科目を追加し、半期20回での履修の可否を検証した。


柔道整復師養成施設指導要領、基礎分野における英語授業の「柔整英語教本」使用の授業効果について
浦中正文、小黒正幸、川東信秀、堀江俊裕(さいたま柔整専門学校)
Key words:英語教育、施術、柔整英会話、国際化

柔道整復師養成施設における教育は、柔道整復師養成施設指導要領に則り、基礎分野、専門基礎分野、専門分野の3分野に区分されている。その1つである基礎分野は柔道整復師養成施設指導要領の指定規則別表第2基礎分野に定められており、教育内容は、「科学的思考の基盤、人間と生活」である。その教育の目標を抜粋すると、「科学的・論理的思考力を育て、人間性を高め、自由で主体的な判断力を培し、国際化および情報化社会に対応できる能力を養う」と指導されている。そこで柔道整復師も最低限の英会話能力が求められてきていると考え、指導要領に掲げられている教育目標の中でも特に、「自由で主体的な判断力を培し、国際化及び情報化社会に対応できる能力を養う」の部分を反映させた「柔整英語教本」を作成した。すでに前回の第16回札幌柔整学会で、その作成については発表を行ったが、その後、実際に授業に用い、またネイティブスピーカーの意見、医師、臨床現場における実体験をふまえ、その効果と、補足、改良点等が顕在化してきたのでここに報告する。